見えないものを見る

「絵の中にカエルがいる!!」と言われた学芸員は、館内に展示されている名画「水連」で探してみるが、当然、見当たらない。「どこにいるの」と4歳の男の子に尋ねてみると、「今、水にもぐっているの」と答えたという。水連とは、もちろんあのクロード モネの水連。「参照 これから生きるおとなのためのアート思考」東商新聞20200620号 連載第1回)幼い子には、見えないものが見える。当時、3歳だった我が子が、窓を眺めている。あまりにも熱心に窓を見ているので、「何しているの」と思わず尋ねたところ、「風を見ている」と答えた。レースのカーテンが風を含んで、バルーン状になって室内に飛び込んでいた。「風は見るものであった。」見えないものでも見える。見えないものを見る。忘れていた感覚だった。