3月11日、10年前の出来事は思い出せる。10年前のことなんて覚えてないことのほうが大半だが。あの日は忘れない。目の前の大通りにどんどん人が北上していく。とにかく歩いて帰ろう。近所のコンビニにはすでに乾電池も手ごろなパンもなかった。歩けるだけ歩いて、とある駅ビルの通路で多くの見知らぬ人達と静かに、朝の電車の運行待った。紅茶が配られて驚いた。駅ビルにある喫茶店が無料で分けていた。どこでどんな大災害だったという全体像を知るのは、ようやく戻ってからであった。それから10年。防災に対する個々人の意識は、その日を境として大きく変わったはずである。