表紙は語る

その本の表紙は、抑えた色合には気持ちが落ち着く。一見すると、穏やかな動物(馬)と少年が対面している絵柄から、お互いの気持ちの交流が流れているかのようで、大人の絵本の面持ちである。よく見ると、少年の服装は??。目を点じ、その表題へ、いざなわれると題名は、『●●の小さな厩番』、●●の部分・・・その表紙が示しているところは、本を手に取ってもらう、もっと言えば、本を読んでもらうためのあえての表紙絵柄と表題だったと思わされた。                                                        もともと自費出版のための表題は、『死刑執行人の親切』これでは手に取りにくい。 評判を呼び、出版に際しての表題は、『●●の小さな厩番』とされたとエピソードが巻末に記載されている。                         ●●の部分がなければ、本当に心温まる少年と馬との友情物と思える。過酷で残酷で、我々、人はここまで集団となると残虐になれることの恐ろしさは、過去、今までも多様な本に記されている。その中でもこの本では、それに対して生き抜く力とは何だったろうかと、最後まで読み終えることができたのは、著者が、90歳まで生き抜き、この事実を伝え続けて、さらには『寛容さ』を唱えて続けていたことだ。