福禄壽

 「ふくろくじゅ」の福とは、幸福の中でも特に「子宝」、子孫に恵まれることをいう。落語CDについている簡単な解説書を読む前は、「個々人の幸福」を指すと思っていた。そうそう、考えてみれば、この演目作られて、演じられた時代では、「福」といえばきっとだれでも、「子宝に恵まれる幸せ」を思い描いたに違いなかった。時代とともに言葉そのものも変化し使用されなくなるもの、その中身も変化するものもある。落語の世界に踏みこむと、十分に年齢を重ねているつもりが、まだまだ言葉の背景、理解に達していない未熟な自分に向き合うこともできる。普段では意識しないことが。  

 「少子化が止まらない、止められない」国内では、最後の対策と銘打って、子供庁創出、そして異次元の対策。とはいえ、手詰まりになっている対策。個々人の幸福の中身に、「子宝」という語句に新たな息吹をこめられるか。「子供を育み、次世代につながる幸せ}をどれだけ感じることを、社会で共有できるか。そう思ってもらえる社会にできるか。そこから始めないとと・・・・・落語を聞きながら、ニュースを見ながら、思いあぐねている。