枯れるが、枯れない

ベランダの紫陽花はまだ咲いている。毎年のこと。触れればパラパラ、ばりばりとした音を立てるが、花弁は形を維持し、古色蒼然とした風情で、その毬状を維持、天を見上げて立っている。毎年、師走もこの形状で過ごし、年越し、その後毬がポロリと落ちる。枯れて見えるが、まだ枯れていない。枯れるが枯れていない。『これ、まことに得たりし花なるがゆえに、能は、枝葉も少なく、老木になるまで、花は散らで残りしなり』風姿花伝