何の準備もせず、臨んで失敗したというなら、まだしも叱る理由もある。未知の世界の課題にトライして失敗した。これは成功への道程である。『多くの物事に当てはまるのですが、ろうそくについて、お椀がうまくできないといった失敗は、失敗しなければ学べなかったようなことを私たちに教えてくれます。こうした経験を通じて、私たちは成長して自然科学者になっていくのです。』ロウソクの科学より
著者の労働階級出身のファラデーは13歳の時、書籍商と製本業を営む店の見習いだった。職業柄、持ち込まれる本を貪欲に読み、科学に興味を持つ。もらった科学講演会(ハンフリー・デイヴィー教授)のチケットから、大きく道が開けた。そのきっかけも製本。講演ノートを製本し、科学者になりたいと手紙を送ったことから、ろうそくの科学への歯車が回りだした。反応は『仕事に戻りなさい』というものだったが、他の科学者とは違い会ってくれた。偶々、助手が解雇されたため、その後釜に採用された。(参照 吉野彰 ロウソクの科学 常識にとわなれない発想はこうして生まれる)