フェイク

LED電気を利用して、本物そっくりの暖炉が手ごろな値段で入手できる。ゆらゆらとオレンジ色にさまざまに変化しながら燃える炎は映像でみると見間違うほどである。実物のフェイク炎を前にすれば、『音がしない、臭いがしない。』リアルな火とは騙されないはずで、熱いと思い手を引っ込めてしまうことはない。初めて火を知った幼児には、区別がつかない。実際の炎はどういうものかを経験で見聞きしているから、フェイクだと分かるに過ぎない。経験から学ぶこと、経験を積むことは、失敗を重ねることでもある。経験から正しく学ぶことはより難しい。何が正しいのか、火をみるほど明らかというわけにはいかないからだ。