●●とわたし

玄関を入って右に『あのコレニア大理石の壁がある。』初代本館ロビーの柱として、2代目本館の宴会場の壁面を飾った大理石だ。3基あったシャンデリアのうちの今も一基は飾ってあるはず。この建物を扱った本を読んだので、『ぜひ、会館にで食事をしよう』ということになった。まずは食事よりも階段を上り、シャンデリアを愛でる。会館を巡っての人生模様を、年代ごとに刻まれるこの本は、「ハレの日を飾ること。美味しいものをいただき、時をわかちあうこと それをささえるために働くこと」をこの場所、建物を通じて、編し記した物語である。虚構と実際も織り交ぜながら、ひとつひとつの主人公がこの玄関を、ロビーを、行き交い、すれ違う。戦前・戦中・戦後・初代 二代 そして現在の建物へ繋がれていく。滋養に満ちた、澄みきったコンソメスープをひと匙掬い口に運ぶ。ふっと美味と作り手のぬくもりを感じる。そんな気持ちになった。(東京會舘とわたし)